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「表現の不自由展・その後」再開へ 
萩生田大臣は「補助金不交付」

片岡伸行|2019年10月11日5:06PM

【大きな曲がり角】

補助金不交付をめぐっては、展示中止の前日(8月2日)に菅義偉官房長官が「事前に展示内容がわかっていれば補助金を出さなかった」と受け取れる発言をしたが、その意向どおりの「不交付決定」となった。萩生田文科大臣は「申請のあった内容通りの展示会が実現できていない」などと不交付の理由を述べているが、前述の官房長官発言に照らせば、政府の意にそぐわないと判断された展示会にはカネを出さないという安倍政権の思惑が浮き彫りになる。

歴史的な事実に目を背け、展示への抗議を煽った河村たかし名古屋市長らの言動も悪質だが、カネで表現を締め付けようという安倍政権の姿勢は国ごと「表現の自由」を窒息させる動きにつながる。事なかれ主義の自治体はこの政府の姿勢を無批判に踏襲するだろう。電話・ファクス攻撃をした卑劣な輩たちの狙いどおりの展開だ。この構図こそが今回の展示中止を生んだ問題の本質ではないか。ヘイトスピーチが蔓延する日本社会の抱える闇も、この構図から発しているように見える。

大村知事は、自身の「展示再開表明」と今回の補助金不交付との関連性に言及した上で「一方的に不交付が決定されるのは承服できない」として国を提訴する意向を示した。日本ペンクラブも9月26日、不交付決定の撤回を求める吉岡忍会長の談話を発表した。すべての表現者がこうした国の姿勢に立ち向かう必要がある。表現の自由にとどまらず、歴史認識を含めた思想・良心の自由が政治に従属するかどうかの大きな曲がり角に立っている。

(片岡伸行・記者、2019年10月4日号)

※編注:「表現の不自由展・その後」は、安全対策を強化したうえで、10月8日から展示を再開した。

 

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