第2次別姓訴訟・東京判決
「信条による差別」認めず
宮本有紀|2019年10月15日5:14PM
ただ、判決は「氏を改めることにより不利益を被る者が増加し(略)婚姻をするについて事実上の制約が生じている」ことを認めた。また、家族の姓が違っても一体感には影響がないとする割合が1996年の48・7%から2017年に64・3%に増え、別姓容認は17年に42・5%となり反対の29・3%を上回ることなど原告が訴えた各種世論調査の数字も採用。最高裁判決後も「氏が家族の一体感につながるとは考えていない者の割合」や「選択的夫婦別氏制の導入に賛成する者の割合」は「増加傾向」であり、地方議会が国会・内閣に選択的夫婦別氏制を求める意見書を提出する動きにも言及して社会状況の変化があるとした。しかし判例変更するほどの変化ではないと結論づけているのだ。
広島地裁で提訴した別姓訴訟の原告、恩地いづみさんが会見に参加し、「大変残念。憲法は同姓強制を求めているのだろうかと疑問に思っている。個人の尊厳の問題なので、多数決で決まるものでは絶対にないとは思うが、どうしても多数決で決めたいなら何%の人が別姓を容認したら実現するのか示してほしい」などと話した。
弁護団は控訴する予定。「違憲判決を得るには、最高裁判決の正当性を失わせるほどの事情変更を証明できればいい」と意気込みを語る。来月には同じ弁護団による別姓訴訟の判決が、東京地裁立川支部と広島地裁で続く。
(宮本有紀・編集部、2019年10月11日号)