子どもの「睡眠不足」
医師が心と身体壊す恐れを指摘
岡田幹治|2019年10月16日10:08AM
【睡眠不足による情緒不安定 生活リズム変更で改善の例も】
子どもの睡眠時間が短くなると、夜間の睡眠中に大量に分泌される「メラトニン」や「セロトニン」の分泌が乱れる。
メラトニンは、日々の生活リズムを調節する機能をもつホルモンで、不足すると良質な睡眠がとれなくなり、規則正しい生活リズムができなくなる。このホルモンには抗酸化作用など身体を守る作用もある。
またセロトニンは、脳の機能を高め、感情をコントロールする神経伝達物質であり、不足すれば、脳の発達の遅れや睡眠障害の原因になる。キレたり暴れたり、あるいはうつ状態になったりすることもある。
星野理事長の講演で参加者が目を見張ったのは、深夜までビデオを見ている幼児の映像だ。
父親の帰宅を待って午後8時ごろ始まった夕食中も夕食後も、テレビとパソコンを操作し、画面を見続ける。父母が寝た後も続け、寝るのは午前2時半ごろ。そのため、翌日は昼頃まで寝ていることもあった。
両親はこれではいけないと考え、母親が朝は無理やり起こして朝食を取らせ、近くの公園に連れ出すようにした。父親も早めに帰宅し、夕食や入浴の時刻を早くした。その結果、午後8時半ごろには寝るようになって生活リズムを取り戻せた。
星野理事長によれば、乳幼児期に就寝が深夜にずれ込んだり、睡眠不足になったりすると、指さしや喃語(乳幼児が発する「ばばば」のような意味のない声)が少なく、情緒が不安定になり、5歳になっても三角形がうまく書けない。
また3歳のころ睡眠が乱れていた子どもは小学4年生になっても夜ふかしが続く傾向があり、中学1年生では肥満になる傾向がある。
こうした実態を踏まえ星野理事長は「乳幼児のときから睡眠リズムをしっかり身につけさせよう」と呼びかけた。
そして子どもを早起き・早寝させるコツについては、朝はカーテンを開けて朝の光を浴び、朝ご飯を食べること、午前中はしっかり体を動かし、昼寝は昼食後、午後3時半までに済ませることなどを挙げた。
何より保護者が「早く寝る・寝かせる」決意をすることだと強調した。
(岡田幹治・ジャーナリスト、2019年9月27日号)