「核のごみ」への不安は?
NUMOが「地層処分」説明会実施
谷瀬綾子|2019年10月21日8:39PM
【指摘に「ぐうの音も出ない」 涙ぐむNUMO職員も】
ただし、参加者から出た意見や要望を意思決定機関につなぐ会議ではないため、参加者が未消化の思いを持つケースもある。
この日の閉会挨拶の際にも、参加者が「要望を伝えてほしい」と発言する場面があった。
3月9日の北九州市での説明会に参加した中本瑞樹さんによると、同じテーブルにはガラス固化体の開発に携わった専門家もおり、「現在の計画はすべてが雑で甘い。これでは失敗する」などの意見も多く出ていたそうだ。
これに対してNUMO職員は「正直みなさんのご意見やご指摘にはぐうの音も出ない」「私たちはこの事業について誠意をもって説明し、理解をしていただくことをしていて、聞いた意見をどうにかできる立場ではないので……」と言葉を濁し、涙ぐむ場面もあったという。
NUMO側に対する「出た意見をいずれかにつなぐことをしているか」という質問には「説明会で出た意見はホームページ上で公開している」との回答があった。
けれども北九州市での説明会の報告書を見ても、中本さんから聞いたような意見は見当たらない。
中本さんは報告書を確認したうえで「答えられる質問だけ載せている印象がある。この程度の報告書のために真剣に協議したかと思うと残念です」と悔しがる。
NUMO広報部にこの点について確認したところ、「報告書にはテーブルで出た意見をまとめた形で記載している。何とも言いようがない」との回答だった。
対話型説明会は昨年度は54回実施されており、今年度は10月30日までに23回の説明会が予定されている。
また、要請に応じた出前授業を行なうほか、地層処分について理解を深めるための活動企画を募集。100万円から300万円まで支援を実施するなど活発な広報活動を行なっている。
NUMOの事業費は毎年、原子力発電所の運転実績に応じた金額が電気会社などから拠出されている。その原資は電気料金の一部として利用者が負担していることも忘れてはならない。
(谷瀬綾子・フリーランスライター、2019年9月27日号)