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台風19号が日本列島に残した爪痕

山本宗補|2019年11月1日5:24PM

車が横転した長野市赤沼の幹線道路。(撮影/山本宗補)

死者68人、行方不明者13人(共同通信、10月15日午後1時16分現在)を出した台風19号は全国に深い傷跡を残した。長野県長野市穂保では千曲川左岸の堤防が約70メートルにわたって決壊、長野市赤沼、長沼一帯で過去にない被害をもたらした。

80歳を超えるリンゴ農家の男性によると、千曲川左岸の堤防決壊は初めてのことだという。

北陸新幹線の全車両3分の1にあたる10編成(120両)が水につかった「車両センター」は赤沼地区にある。同地区とその周辺は、観光リンゴ園や中古車販売店、ホクト株式会社のキノコ生産拠点などが住宅街と混在する、災害とは縁のない一帯だった。

【まるで「3・11」後の津波被災地の光景】

現場に向かうと、どこを向いてもリンゴ園。ボートで救出される人々の周囲では、秋の収穫時期直前の色づきはじめたリンゴたちが水につかる残念な光景が展開していた。冠水した後のリンゴはジュースにしても価格が見合わないため、廃棄処分だろうと兼業農家の若い男性は諦めた様子だった

何台もの自動車がひっくり返る光景は、東日本大震災の大津波被災地を思い出させる。

共同通信によると、川の堤防が壊れる「決壊」が発生したのは、14日夕方時点で、7県で47河川の62カ所にも及ぶ。地球温暖化による気候変動が背景にあるため、過去の体験は参考にならない。

大規模災害に我関せずの態度をとり続ける現政権には期待できない。心ある多くの方の善意が、被災者の生活再建に欠かせない時代となった。

(山本宗補・フォトジャーナリスト、2019年10月18日号)

 

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