性虐待事件の控訴審開始
被害者が救われる社会へ
宮本有紀|2019年11月1日7:00AM
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「新設された監護者性交罪は18未満のみの適用だが、長期間虐待されてきた被害者が18歳になったからといって抵抗できるわけではない」と指摘する山田不二子氏(右から2番目)。左隣は神奈川県中央児童相談所虐待対策支援課の三枡優子氏。(撮影/宮本有紀)
2017年当時19歳の娘に性的暴行をしたとして実父が準強制性交等罪に問われた事件の控訴審が10月28日、名古屋高裁で始まった。この件は今年3月に名古屋地裁岡崎支部で無罪判決が出たが、娘が性交に同意していないことを認めながら抗拒不能(身体的・心理的に抵抗できない状態)とは認定できないとした論理に、批判の声もあがっている。
控訴審でも検察側は抗拒不能を主張しており、高裁判断が注目される。この事件をさまざまな視点から検討し「学術に何ができるか」を考えるシンポジウムが10月20日、東京・日本学術会議講堂で開催され、心理学、医学、社会学、刑法学などの専門家と被害当事者、支援団体などが実態報告や提言を行なった。