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「表現の不自由展・その後」再公開、そして…
2019年11月6日5:53PM
【行動する参加作家たち】
「#YOurFreedom」は、同トリエンナーレ参加作家を中心とした有志グループReFreedom Aichiによって企画されたプロジェクトである。同グループは並行して「あいち宣言(あいちプロトコル)」の草案を作成し、同トリエンナーレ実行委に提出するまでを短期間に行なった。
この「あいち宣言」はもともとは大村秀章・同トリエンナーレ実行委員会会長(愛知県知事)が提案し、8月20日に参加作家やキュレーターに協力を呼びかけたもの。
これに対しReFreedom Aichiは単なる「協力」にとどまらず、他の作家にも呼びかけて原案作成に取りかかる。10月6日には、名古屋と東京の2カ所同時開催で参加作家、キュレーター、弁護士、一般参加者による参加型会議を開き、広く意見を求めた。作成された草案は9日に同トリエンナーレ公式サイトに公開され、14日には草案の最終版が「あいち宣言・プロトコルワーキンググループ」によってまとめられ、大村会長に提出された。
なぜアーティストが草案作成まで能動的に踏み込んだのか。ReFreedom Aichはツイッターで以下のように表明している。「このプロトコルが政治的なパフォーマンスを超えて、日本の表現の自由を守り育て広げてゆくために、現場の実態をともなった具体的内容である必要があるからです」「あいちトリエンナーレ2019の失敗と反省を活かし、表現の自由を愛知から世界へ広げ、未来につなげなければなりません」。
「草案」には「芸術の自由」という原則が打ち出され、また、いわゆる「電凸」の攻撃にさらされる立場の「カルチュラル・ワーカー」の「傷つけられない権利」など、さまざまな立場ごとに具体的な責務と権利を明確にしている。
そこには、今後も同じような事態が起きうるという強い危機感がにじみ出ている。
ちなみに来年7月には横浜トリエンナーレが開催される予定だ。しかし黒岩祐治神奈川県知事はこの間、河村たかし名古屋市長と同様の発言を繰り返しており、何らかの形で介入する可能性もある。
あいちトリエンナーレは閉幕したが、芸術と表現の自由をめぐるせめぎ合いは、間違いなくこれからも続いていく。
(植松青児・編集部、2019年10月18日号)