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遺伝子組み換えナタネの自生を7県で確認

岡田幹治|2019年11月19日11:12AM

院内学習会で挨拶する天笠啓介・食農市民ネット共同代表。(撮影/岡田幹治)

各地の生協や市民団体が毎年実施している「遺伝子組み換え(GM)ナタネの自生調査」が今年15回目を終えた。その結果を踏まえ、環境・農林水産両省の担当者と話し合う院内学習会が10月17日、衆院第二議員会館で開かれた。

日本では栽培されていないGMナタネ(セイヨウナタネ=キャノーラ)が、各地で自生している。食用油の原料としてカナダから輸入されているGMナタネの種子が、輸送中などにこぼれたり、飛散したりして発芽・生育したものだ。放置しておけば近縁種の植物と交雑し、生物多様性が損なわれてしまう。

そんな事態を防ごうと、市民団体の「遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン」が呼びかけ、2005年に始まったのが自生調査だ。このような調査が全国規模で続けられているのは世界でも例がない。

調査は荷揚げ港や製油工場への輸送道路の周辺を歩き、セイヨウナタネらしい植物を見つけると採取し簡易検査キットで調べ、GMナタネであることを示す「陽性」かどうか判定する(判定不能の時は検査会社へ送る)――という手順で行なわれる。

今年は37都道府県で実施され、7県でGMナタネの自生が確認された。全国で906検体を調べ、66検体が陽性だった(陽性率は7・3%)。汚染は依然として深刻だと、院内学習会を主催した「食と農から生物多様性を考える市民ネットワーク(食農市民ネット)」はみている。

【住宅地でも自生していた】

なかでも神戸市では、神戸港の近くにあるJ-オイルミルズ神戸工場の付近で多数のGMナタネが見つかった。神戸市が調べると、岸壁から工場へナタネ種子を運搬するベルトコンベアに亀裂が入り、種子がこぼれ落ちていた。

調査した生活協同組合コープ自然派兵庫などはJ-オイルミルズに、自生しているGMナタネの除去と今後の管理の徹底を要望した。

これまでの自生調査で、同じアブラナ科の作物(ブロッコリーとからし菜)との交雑とみられるナタネや、雑草(イヌカキネガラシ)との雑種が見つかっている。「遺伝子汚染」が国内でも発生していたわけだ。

GMナタネの自生は住宅地でも見つかっている。潮ぬれなどで使えなくなった種子が産業廃棄物として引き取られ、処分場などに運ばれる途中こぼれ落ちたのが原因だ。

過去15回を振り返ると、陽性率は2012年に15・3%になった後、少しずつ下がってきた。自生調査のたびにGMナタネを引き抜いてきたことや輸送会社などがこぼれ落ちを減らす努力をした結果だろう。

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