森友学園事件で籠池夫妻が会見
「私たちは安倍首相の被害者」
片岡伸行|2019年11月21日11:06AM
「元々これは冤罪。私はともかく家内にまで懲役7年が求刑された。安倍昭恵夫人と友だちだったのが大きなポイントだ」――。学校法人森友学園の小学校建設などをめぐる補助金詐取裁判が結審した翌日(10月31日)、東京・丸の内の日本外国特派員協会で会見に臨んだ同学園前理事長の籠池泰典・諄子夫妻はそう語り始めた。
大阪地裁(野口卓志裁判長)で前日開かれた論告求刑公判で、検察側は両被告に懲役7年を求刑。判決は来年2月19日に出される。
国や大阪府などから計約1億7000万円の補助金を詐取した容疑で2017年7月に逮捕された籠池夫妻だが、そもそも「補助金適正化法違反」ではなく、より罪の重い「詐欺罪」での逮捕自体が異例だった。しかも、検察はその後、“口封じ”をするかのように夫妻を「300日間」という異様な長期勾留。18年5月25日に保釈された夫妻は「人権蹂躙。国民の目を欺く国策勾留。一番の元凶が隠されてしまった」と指摘した。
同日の会見でも批判の矛先はその「一番の元凶」に向けられた。
「首相に逆らったらこうなるといういいモデル。私が黙っていれば(国家戦略特区指定を受けた)加計学園のようになっただろう。私たちは安倍(晋三)首相の被害者。これは民主国家、法治国家、先進国家とは言えない」「森友学園は今、管財人(疋田淳弁護士)によって破産の方向で消滅させられようとしている。森友学園がなくなると、検察に押収されたままの安倍さんをはじめ政治家や財務省関連の書類は返す先がなくなり、戻ってこない」「昭恵夫人から『安倍晋三からです』といただいた100万円の寄付は真実。安倍首相関与も真実であります。安倍首相を許すことはできません」
籠池夫妻と安倍夫妻。どちらかが見えすいた嘘をついている。この国の政治と司法は「一番の元凶」をいつまで放置するのか。
(片岡伸行・記者、2019年11月8日号)