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第2次別姓訴訟判決・東京地裁立川支部
「実質的不平等」認めず

宮本有紀|2019年11月22日1:30PM

 

「我々以外にも事実婚を強いられている何千何万もの人たちの思いを代弁したいと思い、原告になった。通称使用で自分の名前を奪われている人たちのためにも選択的夫婦別姓実現を目指す」と話す原告の山崎精一さん(右から2人目)右端は榊原富士子弁護団長。(撮影/宮本有紀)

婚姻時に夫婦別姓の選択肢を認めない法制度は憲法違反だとして男女10人が東京と広島で国を提訴した裁判で11月14日、東京地裁立川支部(見米正裁判長)の判決があり、原告の請求が棄却された。同支部の原告は事実婚の3カップル6人で、東京地裁本庁や広島地裁の原告らと共に昨年5月に提訴。2015年に最高裁判決がでた第1次訴訟時は夫婦同姓を定めた民法750条が女性差別だと訴えていたが、この第2次訴訟ではそれに加えて信条による差別であることや、夫婦の姓を婚姻届の必要記載事項とする戸籍法74条1号も違憲であることなども訴えた。

これについて立川支部では10月2日の東京地裁本庁判決と同様、夫婦別姓を希望する考え方は「信条」であることを認めた。しかし、規定は「夫婦同氏を希望する者、夫婦別氏を希望する者のいずれにも適用されるのであって、その文言上、信条に基づく法的な差別的取扱いを定めているわけではなく(略)形式的な不平等が存在するわけではない」として憲法違反ではないとした。弁護団は「いずれにも適用されるから差別的でないというのはおかしい。この理屈が通るなら、過去の違憲判決はすべて間違っていることになる。たとえば民法に婚外子相続差別規定があったが、この法律は婚外子にも婚内子にも誰にでも適用されるので不平等ではないと言っているのと同じ」と厳しく批判した。

また判決は、夫の姓を選択する夫婦が約96%という実態について「夫婦間における協議の経過(略)などは(略)明らかでなく、実質的な不平等があるとまでは認めるに足りない」とし、世論調査結果も「選択的夫婦別氏制度を導入すべきとの意見が大勢を占めているとは認められない」などと判断。榊原富士子弁護団長は「本庁判決より後退した印象で大変がっかりした」と失望を隠さなかった。

原告らは「8割9割の人が苦しまないと法律は変わらないのか。1割でも苦しむ人がいる法律は変えるべき」(八王子市在住男性)、「同姓なら認められる法的な権利が事実婚では認められない。実質的な不平等はある」(国分寺市在住女性)などと発言。調布市在住の山崎精一さん(70歳)は「私は子らと姓が違うが、父親として育児をしてきてしっかりと成人した。子どもと姓が違うと家族が崩壊するという方もいるがそうではない」と訴え、「世論調査で20代~30代は別姓賛成が過半数。裁判所は今後結婚する世代の状況をねじまげて解釈した」と怒りを表明した。

原告らは控訴する方針。広島地裁の判決は11月19日の予定だ。

(宮本有紀・編集部、2019年11月22日号)

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