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マタハラ訴訟、女性が敗訴
育休後の雇い止めをハラスメントと認めず

岩崎眞美子|2019年12月6日1:53PM

「高裁では証人尋問もなく、証拠は書面上のやりとりのみ。1審から事実認定が大幅に書き換えられている」と話す圷弁護士。(撮影/岩崎眞美子)

語学学校運営会社ジャパンビジネスラボで正社員として講師をしていた女性が育児休業取得後、契約社員への雇用契約変更と1年後の雇い止めなどをマタニティーハラスメントだと訴えた裁判の控訴審判決が11月28日に東京高裁であり、女性の訴えは棄却された。

一審の東京地裁では会社の対応は不法行為と認定。雇い止めも無効とする判決だったが、高裁の阿部潤裁判長は、原告側が求めた正社員復帰を認めないうえ雇い止めも有効とする判決を下した。女性の本件に関する記者会見を会社側が名誉毀損と訴えた件も、地裁は棄却したが高裁では認めた。

「原告に55万円の支払いを命じる」と裁判長が述べたとき、傍聴席では驚きや怒りの声があがった。早口で読み上げられた判決理由は、会社側の主張をそのまま読み上げるような内容で、会社側が禁止を求めた執務室での録音を原告がしていたことや原告女性の社内での言動を詳細に述べるなど、原告の雇い止めの理由は原告自身の問題行動ゆえのものであると強く印象づけるものだった。閉廷後もざわめく傍聴席に対し、阿部裁判長が「傍聴者は速やかに退席してください」と強い口調で命じたのも印象的だった。

女性は2013年に出産し、1年間の育休中に保育園が見つからずに育休を半年延長。会社からは「正社員への契約再変更が前提」と説明を受け、14年に週3日の契約社員となる契約書にサインした。正社員として働き続けるために選んだ道だった。その後保育園が見つかり正社員復帰を望んだ原告に対し、会社は戻すかどうかは会社の判断とし、1年後に雇い止めをした(経緯については本誌10月4日号で詳報)。

女性は裁判後の会見で「マタハラ事案について当事者を責めるような論争がなくなる社会になってほしい。このままでは時代に逆行してしまう」と述べた。

原告弁護団の圷由美子弁護士は、「記者会見は労働者が問題を社会に提起する大切な手段。それが『名誉毀損』とされてしまうのは重大な問題だ」と訴えた。

岩崎眞美子・ライター(2019年12月6日号)

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