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上智大学で性暴力考えるシンポ
「もっと大学が対応してほしい」と学生
小川たまか|2019年12月6日2:19PM
学生と教職員が連携して性暴力を考えるシンポジウム「性加害を生まないためにできること~声をあげ、耳を傾ける~」が11月25日、上智大学で行なわれ、大学生など約100人が参加した。
パネル・ディスカッションでは、同大の出口真紀子教授、三浦まり教授、伊藤公雄京都大学名誉教授と、3人の学生が登壇。伊藤教授は「性暴力は女性の問題にされがちだが明らかに男性の問題」と定義。「支配」か「依存」でしか女性との関係を持てない男性の問題が性暴力の背景にあり、「女を支配しなければいけない」と考える有害な「男性性」を変えていく必要性があることを強く指摘した。
出口教授は、「男性に、自身の持つ特権にどう気づいてもらうかがテーマ」と話し、男性から女性に移行したトランスジェンダー女性が「50代で女性になって初めて男性特権に気づいた」と語ったケースを紹介。また、女性専用車両や男性が女性に奢ることが「女性特権」と言われることがあるが、痴漢被害に遭った卒業生の女性を授業に招き、「被害者にとって加害者は、漫画『進撃の巨人』の巨人のようなもの」と語ると、「自分は巨人側だった」と気づく男子学生がいた実例などを話した。
このほか、性暴力を男性が語ると女性よりも「中立」と見なされ、好意的に聞いてもらいやすいという男性の「特権」についても紹介。性暴力問題について男性からの発信が重要であることを示した。
高校時代に野球部に所属していたという男子学生は「部活はマスキュリティ(男性性)の宝庫だった」と明かし、「スポーツでは男性性をむき出しにすることが求められる。スポーツとこの問題の関連も勉強していきたい」と発言。女子学生からは、「学校教育では現在の社会に性差別があることを教えられない」ことや、大学運営において性暴力事件の対応が遅れている問題が指摘され、学生と教職員双方から改善の働きかけをしていくことが改めて周知された。
(小川たまか・ライター 2019年12月6日号)