キリスト教団体が会見「大嘗祭は政教分離違反」
山村清二|2019年12月10日3:56PM
「即位儀式・大嘗祭を国事行為・公的行為として行なわないでください」──一連の天皇の代替わり儀式の中でも重要な神道行事である「大嘗祭」(11月14日・15日)を前にした12日、東京・千代田区の参議院議員会館で、これに抗議する緊急記者会見が行なわれた。
主催は、日本キリスト教協議会(NCC)靖国神社問題委員会。大嘗祭を含む、天皇の一連の代替わり儀式の多くが神道行事であり、これに国が関与し、公金を支出することは、憲法の政教分離原則に違反するとして反対。神道行事が公的行為として行なわれることで、憲法で定める「信教の自由」の権利が脅かされるとする。
会見した金性済牧師(NCC総幹事)は、一連の天皇の代替わり行事だけでなく「町内会など身近な神社の例祭への参加を迫られて悩む信徒も多い」と、日常的に神道行事参加への同調圧力があることを憂う。そのうえで「キリスト教団体は過去に戦争協力をしたことへの反省がある。罪を悔い改めるためにもこれを克服しなければならない」と話す。
会見に先立ち、内閣総理大臣宛てに抗議署名が提出された。署名は約6200筆。昭和から平成に替わった30年前の1割にも満たないことについて、太田勝神父(カトリック正義と平和協議会)は「グローバリゼーションが進む中で、世界市民として外国人差別反対や移民・難民の受け入れとはならず、日本人としてのアイデンティティを探すようになる。そのときに、昔からの皇室を中心とした民というアイデンティティにひかれていくのではないか」と語る。
本誌8月9日・16日合併号にも登場した星出卓也牧師(NCC靖国神社問題委員会委員長)は「戦争を経験した世代の減少や、(キリスト教団の)戦争協力の痛みがだんだん薄れてきたのではないか」としながら「それでもまだ、これだけの人が反対の意思を示したことは大きい」と力をこめた。
(山村清二・編集部、2019年11月22日号)