教皇ミサ参加の韓国人被曝者ら福岡空港で5時間足止め
伊田浩之|2019年12月26日3:52PM
教皇フランシスコの長崎でのミサ(11月24日)に参加しようと来日した韓国人被爆者の一部が11月23日、福岡空港の入国審査で約5時間も“足止め”されていた。福岡出入国在留管理局総務課は「水際対策のための厳格な審査は私どもの使命。不当に待たせることは一切ない」というが、高齢の被爆者を長時間“審査”する姿勢に非難が高まりそうだ。一行はミサには参加できた。
当日現場で解放を訴えた後藤富和弁護士(福岡県)によると、足止めされたのは「韓国原爆被害者協会」(協会)のメンバー。11月23日午前11時ごろに福岡空港に到着した十数人のうち80歳ぐらいの被爆者4人について、口頭審理の必要があるとして足止めされたという。
後藤弁護士は「私が駆け付けたのは4時間ぐらい経ってからで駐福岡総領事館の2人と同時でした。『教皇来日にともなう警戒強化』『観光で長崎の教会に行くと答えたので詳しく話を聞く必要があると判断した』などと述べていましたが、『中央(東京の本庁)と電話でやりとりしながら進めた』とも話していました。狙い撃ちではないかと疑いたくなる対応だ」と話している。
前出の総務課担当者は長時間審査を認めたうえで「個別の事例についてはお答えを差し控えます。一般的には(来日の)目的や行き先などに虚偽がないかどうか確認することはあります。審査時間について統計は取っていないが、感覚的にはレアケースではないかもしれないと思います」と答えた。
広島や長崎で被爆した朝鮮・韓国人の正確な人数は不明。協会の推計では、広島での被爆者が5万人(うち3万人が被爆当時死亡。2万人が生存、1万5000人は帰国)。長崎の場合は、被爆者は2万人(うち1万人が死亡。生存者1万人のうち8000人が帰国)としている。
(伊田浩之・編集部、2019年12月6日号)