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まったく懲りない菅官房長官
西谷玲|2019年12月28日5:49PM
安倍晋三氏は年内に首相として憲政史上最長となる。有力なポスト安倍の見つからないなか、安倍政権を継承する形で菅氏が後任となり、そのあと、(環境相になってから「セクシー」発言などでつまずいたとはいえ)人気の高い小泉進次郎氏が後を引き継ぐのではないかという見方が強まってきていた。いわば「中継ぎ」である。
故小此木彦三郎通産(現、経産)相の秘書からたたき上げた菅氏は、今や自民党では珍しくなった縁の下の力持ち、黒衣役を好むタイプだ。裏の交渉や根回しを得意とする。自らも認めているように、良くも悪くも明確な国家観やビジョンもない。その場その場の部分最適、対症療法にあたるタイプで、後から全体を眺めてみるとちぐはぐなものになる。
良い例が労働力不足に対応するための入管法改正だ。これからの日本の社会像や移民政策をどう考えるのかの議論もないまま、外国人労働者を増やそうと1年もかけずに法改正をしてしまった。
菅原氏の後任は梶山弘志氏。これまた菅氏に非常に近いが、安倍氏は受け入れた。梶山氏の父、故静六氏は菅氏が政治の師と仰ぐ。かつて梶山氏が1998年に総裁選に立候補して小渕恵三氏、小泉純一郎氏と戦った時は1年生ながら所属していた小渕派を抜けて梶山氏を担いだ。
まったく懲りない菅氏ではあるが、何事もなかったように収束するのか、それとも後任人事も含めて慢心の表れであって、菅王国崩壊の序章となるのか。まだ分からない。これで年内解散総選挙の可能性は相当低くなったと思われるが、野党は辞任したからといって許してはならない。内閣のゆるみを追及すべきだ。
(にしたに れい・ジャーナリスト、2019年11月1日号)