環境危機こそ資本主義に代わるシステムへの転機
高橋伸彰|2019年12月29日6:11PM
西日本で猛威を振るった昨年の台風21号に続き、今年は台風19号の上陸で東日本が大きな被害を受けた。その悲惨な現場の実態は、本誌先週号でも取り上げられた通りである。被災された方々の安全や健康の確保はもちろん、水害で失われた生活の場が一日も早く復興・復旧されることを心から願っている。
ただ、当面の水害対策とは別に、より長期的な観点から取り組むべき課題があることも忘れてはならない。台風の大型化・強力化を引き起こす地球温暖化への対応である。
台風のメカニズムに詳しい名古屋大学の坪木和久教授(NHK NEWS WEB)によれば、熱帯で発生する台風は温かい海面から供給される水蒸気をエネルギー源として発達、通常は海面水温が低い日本付近に来ると弱まるが、温暖化の影響で水温が高まると逆に発達して勢力が強まるという。
このため、温暖化に歯止めがかからないと、今後も強い台風が日本に接近・上陸し、災害が頻繁に発生する恐れがあると警告する。
森林の伐採に加え、化石燃料から排出される温室効果ガスの影響で、地球の平均気温が上昇していることは科学的にも証明済みだ。これに対し、2016年11月に発効した国際的な温暖化対策への取り組み『パリ協定』では、平均気温の上昇を産業革命前の 2℃未満に抑え,21世紀後半には温室効果ガスの排出を実質ゼロ(脱炭素社会)にすることが目標とされている。