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年金受給を遅らせる政府の思惑

鷲尾香一|2019年12月30日12:00PM

 現在、65歳以上で年金を受給している場合は月収が47万円、60~64歳なら月28万円を超えると年金が減額する。年金が減少する基準額を月収47万円から50万円台に引き上げる。

従来から、在職老齢年金については働くほど年金が減る仕組みが、高齢者の就業意欲を削ぐと指摘されていた。

しかし、これらの措置は長寿・高齢化に対応して、年金制度の存続を図るためのものであり「全世代型社会保障」というには程遠い。

例えば、在職老齢年金は一定以上の収入のある高齢者への年金支給の一部を減額することで、将来世代の年金原資を確保するためのものだが、現状の基準でも65歳以上の年金減額対象者は、受給者全体の1.5%にしか過ぎず、富裕層に近い層に限られている。

むしろ、今回の年金制度改革は受給開始年齢を75歳まで選択可能としているように、減少する労働力に高齢者を使うことを目的としているものだろう。

事実、10月4日に召集した臨時国会の冒頭、安倍晋三首相は所信表明演説で、「65歳を超えて働きたい。8割の方がそう願っておられます。高齢者のみなさんの雇用は、この6年間で新たに250万人増えました」と述べ、65歳以上の高齢者の就業を促進する方針。

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