憲政史上最長に水差した閣僚辞任
西川伸一|2019年12月30日7:00AM
一方、ズブの素人や資質に問題のある議員が単なるごほうびとして法相に就いた場合も少なくない。たとえば小泉純一郎首相が任命した南野千惠子氏、野田佳彦首相任命の田中慶秋氏、さらに安倍首相任命の金田勝年氏は不安な国会答弁を繰り返して、事務方をあわてふためかせた。
さて、前述の古井氏は法相就任時の人物紹介記事で、「同じ選挙区の野党議員からも『気骨ある、清潔な人』と評価は高い」と書かれた(1978年12月8日付『朝日新聞』)。本誌前々号によれば、韓国のチョ・グク前法相は就任前、検察改革について「死ぬ気でがんばって一歩でも前進します」と述べていた。
法相は法の番人であり、検事総長を指揮する権限をもつ。首相にはその職責にふさわしい硬骨漢を据えて、憲政史上最長の「栄誉」に花を添えてほしかったのだが。
(にしかわ しんいち・明治大学教授。2019年11月8日号)