首里城が残した誇り
阿部岳|2019年12月30日2:00PM
火災の原因は分からないままだが、国営公園の首里城を所有する国は早くも再建に積極姿勢を示している。不足が懸念される木材については宮崎県や鹿児島県が協力を申し出ている。寄付金も全国から続々と集まっている。
一方で、日中両国の影響を受けた建築様式の中国的な要素だけを取り上げて「首里城は売国のシンボル」などと中傷する者たちがいる。炎上中に周囲で県民がエイサーを踊っていたかのような侮辱発言を、沖縄出身の女優に向けた映画監督もいた。これも現代日本の一断面である。
再建は国主導でいいのか、沖縄は主人公としてどう関わっていくのか。模索が始まっている。沖縄にとって、足元を見つめ直し、日本との関係も問い直す時期になりそうだ。
(あべ たかし・『沖縄タイムス』記者。2019年11月22日号)