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人権が守られる避難所を

宇都宮健児|2019年12月30日1:16PM

 国際的には、ルワンダ紛争による避難民が1994年に難民キャンプで多数死亡したことがきっかけで、非政府組織(NGO)グループと国際赤十字・赤新月運動が、1998年に「人道憲章と人道対応に関する最低基準」、通称「スフィア基準」を提唱している。

スフィア基準は「人道憲章、権利保護の原則、コア基準」の三つの共通の土台と、生命保護のために必要不可欠な四つの要素である「(1)給水、衛生、衛生促進(2)食糧の確保と栄養(3)シェルター、居留地、ノン・フードアイテム(非食糧物資)(4)保健活動」の各分野における最低基準を定めている。

具体的には、1人あたりの居住空間は最低3・5平方メートル、トイレは20人に一つ以上を、男性1対女性3の割合で設置することなどである。このスフィア基準は、わが国でも大いに参考にされるべきである。

また、地震大国のイタリアでは、避難所に「TKB(トイレ、キッチン、ベッドの頭文字)」が標準装備されているということである。イタリアでは1980年、南部イルピニアで3000人近くの犠牲者を出した地震の教訓から市民安全省が設置された。

災害時のために、シャワー付きのトイレや家族ごとに生活できる大型テントとベッド、プロの調理師が温かい食事を提供するキッチンカーなどの資・機材が全国の州ごとに備蓄されている。そして、災害発生から48時間以内にこれらが装備された避難所を設置することが、法律で定められている。

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