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日韓関係はなぜ毀損されたのか
佐々木実|2019年12月31日12:00PM
安倍晋三首相と韓国の文在寅大統領が今月4日、バンコク近郊で“会話”した。東南アジア諸国連合と日中韓(ASEAN+3)首脳会議の控え室で、ソファに腰掛けての約10分間の話し合いだった。
両国間の懸案については外交当局間の協議で対応することを確認するにとどまり、むしろ“会話”は正式な日韓首脳会談が昨年9月以来一度も行なわれていない異常事態を印象づけることになった。
きっかけは昨年10月、韓国大法院が元徴用工訴訟で日本企業に賠償を命じる判決を下したことだった。“会話”でも安倍首相は、「賠償問題は1965年の日韓請求権協定で解決済み」と日本政府の立場を文大統領に伝えている。
日韓対立が決定的となったのは今年7月1日、韓国大法院判決への事実上の報復として、日本政府が韓国向け輸出規制を強化すると発表してからだ。実際に実施されたのを受け、韓国は8月22日、日本との軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄を決定(注)。経済、安全保障両分野に跨がる亀裂が走り、両国関係は暗礁に乗り上げてしまった。