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日韓関係はなぜ毀損されたのか
佐々木実|2019年12月31日12:00PM
『朝日新聞』の検証記事(10月18日付朝刊)によると、経済産業省は当初、対韓輸出規制の強化には慎重姿勢だったという。「拳を振り上げれば、どう下ろすのか。下ろした後の影響は大きい」(経産省幹部)という至極常識的な慎重論を覆したのは、政権幹部たちだった。記事にはこうある。
「『そんなことをしても韓国は痛くもかゆくもない』。関係閣僚は今年5月ごろ、水面下で検討中だった別の案を示され、一蹴。輸出規制強化など韓国にとってより厳しい措置をとるよう主張した。『ケンカは一発目でどう殴るかが重要だ。国内世論はついてくる』」
こんなお粗末な経緯で好戦的な閣僚らに引きずられ“経済戦争”を韓国に宣戦布告したのなら、GSOMIA破棄の理由を「完全に高圧的だから、我々も対抗措置を取らなければならない」と語った韓国大統領ブレインの言葉に説得力が出てくるではないか。
隣国との関係はなぜ、修復不可能なほど毀損されてしまっているのか。徹底して検証を重ねていく必要がある。
(ささき みのる・ジャーナリスト。2019年11月15日号)
【編注】11月22日夕、韓国政府は日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)破棄の通告を停止すると発表しました。23日午前0時の失効期限を数時間後に控えたぎりぎりのタイミングでした。