就職氷河期世代への効果的な支援が必要
鷲尾香一|2020年1月5日7:00AM
その後も、景気回復の遅れと企業側の新卒優先の採用から、非正規雇用での就業が続き、正規への雇用転換が困難な状況が続いた。年齢的に見れば、まさに現在の日本経済を支える“働き盛り”の世代だ。
6月11日に内閣府が出した「就職氷河期世代支援プログラム関連参考資料」によると、35~44歳の同世代は18年時点で1689万人。このうち非正規の職員・従業員は371万人、非労働力人口は219万人、 完全失業者は33万人となっている。
そもそも、政府は6月11日、「経済財政運営と改革の基本方針2019」(骨太の方針)の原案で「就職氷河期世代」の支援策を盛り込み、3年間を集中支援期間として同世代の就職を支援し、非正規雇用や引きこもりの人など約100万人を対象に、正規雇用の30万人増を目指すことを打ち出した。
結果、20年度の予算概算要求では、厚労省の653億円を筆頭に、8府省の「就職氷河期世代支援」関連予算が合わせて総額1344億円も計上されたとの報道が相次いだ。
だが、この1344億円のうち、実際に同世代への支援に限って使われるのはこのうちの1割、わずか129億円にとどまっている。残りの1215億円については、対象者を同世代に限らない一般的な労働者支援に使われるのだ。