就職氷河期世代への効果的な支援が必要
鷲尾香一|2020年1月5日7:00AM
実は、政府が就職氷河期世代の支援策を打ち出したのは、これが初めてではない。しかし、いずれも“お世辞にも”効果が上がっているとは言えない状況なのだ。
実際、今回、厚生労働省が同世代の就職を後押しするため、特例として行なっている求人で10月末までの約2カ月間で434件の求人があり、正規雇用となったのは、わずかに16人でしかない。
非正規雇用の割合が高い同世代では、低所得のため貯蓄額が少なく、公的年金も厚生年金ではなく、国民年金の加入者もしくは無加入者である可能性が高い。同世代が高齢化すれば、生活苦に陥る可能性は高く、生活保護に頼らざるを得なくなり、社会保障費は急速に膨張する可能性がある。
政府はこうした事態を避けるため、同世代の就職支援に乗り出しているわけだが、求人は運輸業や製造業など人手不足の業種に偏っている。
希望する仕事に就けず、“人手不足対策の駒”のような扱いでの就業支援策がはたして、同世代の就業意欲につながるのか。いささか心もとない。
(わしお こういち・経済ジャーナリスト。2019年12月6日号)