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日韓メディア労組の連帯復活 
きっかけは『週刊ポスト』嫌韓報道

長谷川綾|2020年1月6日11:12AM

ソウルの言論労組事務所で連帯を誓う呉政勲委員長(右)と南彰MIC議長。(撮影/長谷川綾)

「人権と自由を守るため、香港市民はデモで必死に訴えている。他人事ではない。日韓のメディア労働者は力を合わせ、東アジアで言論の自由を守り抜く」

11月25日夜、ソウルのプレスセンター。韓国の新聞、テレビなどの労組で作る全国言論労働組合(言論労組、1万4500人加盟)創立31周年式典で、呉政勲委員長(聯合ニュース記者)と日本マスコミ文化情報労組会議(MIC)議長の南彰・新聞労連委員長(『朝日新聞』記者)が並んで共同声明を読み上げると、会場の約100人から拍手が起きた。

MICは新聞や民放、出版などメディア労組の連合体。南氏は24、25両日の日韓メディア労組交流・シンポのため組合員ら計17人で訪韓。民主化後の1988年に誕生した言論労組とMICは95~2005年に定期交流をしていたが、この14年はほぼ途絶えており、今回の訪韓でその復活を合意した。

きっかけは『週刊ポスト』の特集「怒りを抑えられない『韓国人という病理』」など差別表現が相次いだのを受け、新聞労連が9月6日に出した「『嫌韓』あおり報道はやめよう」声明だ。これを知った言論労組が交流再開を打診。9月28日、両組織は急遽共同声明「事実に基づいた報道で、国境を越えて平和と人権が尊重される社会を目指そう」を出し、日韓関係が悪化する中「平和や人権が踏みにじられた過去の過ちを繰り返すことがないよう、ナショナリズムを助長する報道には加担しない」と宣言。11月8日には言論労組の8人が来日した。日韓メディアは再び連帯し、東アジアの民主主義を守る貴重な一歩も踏み出した。

李明博、朴槿恵両政権下で解雇されても報道を続け復職した記者らの闘いに触れ「言論空間を守り抜いた韓国に学びたい」という南氏に、呉氏はこう応じた。「日韓には政治対立がある。だが、真実を追求する市民の思いは一つだ」。

(長谷川綾・新聞記者、2019年12月6日号)

 

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