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映画『家族を想うとき』公開記念ディスカッション 
コンビニ店主らの姿を重ねる

2020年1月6日12:10PM

映画と日本の現状を重ねながら、さまざまな議論が展開された。(撮影/松元千枝)

ケン・ローチ監督の映画『家族を想うとき』(56ページ参照)の公開記念特別試写会とディスカッションが12月2日に東京・千代田区で開催された。労組や市民団体が組織する「雇用共同アクション」の「わたしの仕事8時間プロジェクト」が呼びかけたもので、法政大学教授の上西充子さんや弁護士の川上資人さん、ジャーナリストの北健一さんらが登壇した。

映画ではドライバーが携帯端末で業務管理される宅配事業と、その問題点がクローズアップされていることから、ウーバーイーツの配達員やコンビニ店営業との共通点などが挙げられた。ウーバーイーツユニオンを結成時から支援する川上さんは、食品配達事業が雇用に近い働き方であるにも拘らず自営業者として働かされる問題を紹介。労働者性を問うと同時に、働く意義も問う映画だと評した。

家族単位での営業を想定し、夫妻で成り立つコンビニ店経営についても同様の問題が指摘された。映画では家族が互いに支え合うものの、のしかかる責任に家族ごと絶望に陥っていく様子が映し出される。心身ともに疲弊しつつも仕事を続ける主人公の姿を、北さんはコンビニ店主に重ねた。本部から年間を通しての営業を強要されている店では店主が過労死したり、家族が病に倒れることもある。家族を思いやって働いているつもりが、いつのまにか働けば働くほど家族が壊れていく――。

ドミナント商法(市場占有率を高めるため一地域内に多店舗を集中展開する手法)ではコンビニ店同士が競合させられたり、配達員が宅配ルートを奪い合うなどの分断も強いられる。弁護士の菅俊治さんは、労働者がどうやって連帯できるかという新しい課題を、この映画はつきつけていると話した。川上さんは「ユニオンに対する偏見や冷ややかな空気はあるが、映画を機にその意義と必要性を考えられるのでは」と語った。

(松元千枝・ジャーナリスト、2019年12月13日号)

 

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