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むきばんだ遺跡

小室等|2020年1月6日7:00AM

約一七〇ヘクタール、国内最大級の弥生遺跡「妻木晩田(むきばんだ)遺跡」。一九九六年、鳥取県大山の麓、県が策定した「大山スイス村リゾート計画(端折って言えばゴルフ場建設)」の予定地でみつかり、発掘調査が始まった。

地元出身の考古学者・佐古和枝さん(関西外国語大学助教授・当時)がこの事態を知ったのは翌九七年。開発に伴う発掘は、調査が終われば遺跡を壊すことが前提で行なわれる。だから、調査費は事業者が負担。このようなケース、どんな開発反対運動も勝てない、この国では。それでも佐古さんは、動いた。

〈承知の上の負け戦、のつもりだった。でも、おざなりにしたわけでは決してない。自分に出来ることは全部やってみるつもりだった。「救えなくてごめん。でも、思いつくことは全部やったんだ」ということでしか、あの遺跡に、そして子孫達に、詫びる方法がないと思った。もし壊されたら、「ものすごい遺跡があったんだ。力及ばず救えなかったけど、すごい遺跡だったんだ」と呪文のように一生言い続けるウルサイ婆さんになってやる、と思ってた〉佐古さんだったのに九九年、突如、ゴルフ場開発中止、遺跡全面保存が決定。

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