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「第25回平和・協同ジャーナリスト基金賞」は『京都新聞』 
「強制不妊手術」報道が大賞

薄井崇友|2020年1月8日6:13PM

贈呈式に出席した受賞者と審査委員の各氏。東京・内幸町の日本記者クラブで。(撮影/薄井崇友)

平和や反核・人権擁護などの優れた報道に関わった個人や団体を表彰する「第25回平和・協同ジャーナリスト基金賞」の贈呈式が12月7日、東京都内で開催され、「旧優生保護法下での強制不妊手術に関する一連の報道」に携わった『京都新聞』取材班に、実態を実証的な取材で掘り起こしたとして基金賞(大賞)が贈られた。

取材班の森敏之記者は「公文書では当時の詳細を把握できなかった」と述べ、強制不妊手術に関わった当事者らへの取材により明らかになった事例をあげ「今回の受賞は取材に応じてくれた全ての皆さんに贈られたものです。今後も当事者の声に耳を澄ました取材を続けていきたい」と挨拶した。

奨励賞では7点が表彰された。日本国憲法とは何者かを問い直したドキュメンタリー映画『誰がために憲法はある』の井上淳一監督は「いま社会と向き合う映画はわずかしか作られていない。表現とは、憲法で言えば改憲と護憲の間にいる人たちの価値観や魂を揺さぶるもののはず。我々の表現は表現にたり得ても、まだその力たり得ていない。そのことを肝に銘じていきたい」と述べた。

集英社文庫『南三陸日記』と『朝日新聞』連載「遺言」で受賞した三浦英之記者(『朝日新聞』南相馬支局)は、原発事故を抱える福島の現状を「安倍首相の言葉『アンダーコントロール』にコントロールされている」と述べ、このテーマでの新たな連載を計画していると話した。この他「権力の暴走をただし、民主主義を問う一連の報道」(『沖縄タイムス』編集局)、ドキュメンタリー映画『米軍(アメリカ)が最も恐れた男 カメジロー不屈の生涯』(佐古忠彦監督・TBSテレビ)などが受賞した。

この賞は〈平和と協同のために市民が選び贈る日本版ピュリッツァー賞〉を謳い、12月4日にアフガニスタンで命を落とした中村哲さんも過去に受賞している。

(薄井崇友・フォトジャーナリスト、2019年12月13日号)

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