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株主提案を制限する改定会社法が成立 
「脱原発つぶし」と反発も

小石勝朗|2020年1月16日5:47PM

成立翌日の記者会見で改定会社法を批判する木村結さん(左)。(撮影/小石勝朗)

会社法の改定案が12月4日の参院本会議で可決され成立した。株主提案権を制限する内容が含まれ、電力会社の脱原発株主は「脱原発つぶし」と反発している。

脱原発株主は、3万株分以上の賛同を集めて毎年の定時総会で議案を提案している。東京電力ホールディングスの6月の総会では原発汚染水の保管、原発事故時の避難計画策定など9議案だった。

改定会社法は、同じ提案者が1回の総会に出せるのは10議案までと制限を設けた。法務省は「1人の株主が膨大な数の議案を提案するなど提案権が濫用的に行使される事例があった」と説明した。

これに対し、脱原発・東電株主運動の世話人、木村結さんは「継続して株主提案をしているのは脱原発株主運動だけで、ターゲットにされた」と憤る。

約3500社の上場企業のうち、今年6月までの1年間に株主提案を受けたのは65社。多くは1、2件で1人で10件を超えたのは3年間で7件だけという。衆院法務委員会の野党勉強会には電気事業連合会(電事連)が説明を申し入れてきたといい、「誰の要請による改定かは明らか。会社の恣意的な運用が予想される」と警戒する。

改定法はまた、取締役らが職務上の賠償責任を負った際に、会社が賠償金や弁護士費用を補償できるとした。原発事故をめぐる東電株主代表訴訟の原告にもなっている木村さんは「取締役の社会的責任をすべて免罪することになりかねない」と批判する。

一方、当初の改定案には、他人を困惑させる目的や総会の運営が著しく妨げられるおそれがある場合は、会社が株主提案を拒めるとの規定が入っていたが、衆院法務委の審議で削除された。

改定は1年半以内に施行される。脱原発株主は「脱原発株主運動全国連絡会」(9団体)を通して情報交換しながら、株主総会へ向けた電力各社の動きに備える。

(小石勝朗・ジャーナリスト、2019年12月20日・2020年1月3日合併号)

 

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