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「GSOMIA」を無条件に受け入れるメディアの劣化度

田島泰彦|2020年1月20日6:55PM

日本の新聞はとうとうここまで来たのかと感じざるを得なかった。日韓間のGSOMIA(軍事情報包括保護協定)を伝えるこの国のありようをめぐってである。

周知のように、元徴用工問題や輸出規制の強化など日韓の緊張関係が進む中で今年8月22日、韓国政府は同協定の破棄を決定し、翌23日に日本政府に通告した。

その後、日韓間のみならず米国からもさまざまなやり取りが重ねられる中で韓国政府は11月22日、日本政府に対して、同協定終了の通告を停止すると伝え、1年間の自動延長となった。

GSOMIAとは2国間で軍事上の作戦や協力のため秘密軍事情報を相互に提供・共有のうえ保護する仕組みで、米国は従来から世界数十カ国との間で結んできた。日米間では2007年8月に、日韓間でも16年11月に締結され、稼働してきた。

では日韓間でのGSOMIAの破棄、およびその停止について、この国のメディアはどう対応し、伝えたのか。紙幅の関係から詳しい中身には立ち入ることができないので、ここでは去る11月の主要な全国紙と『東京新聞』の社説の見出しを眺めるにとどめる。

まず韓国の破棄通告に際しては『朝日新聞』が「日韓情報協定 文政権は破棄の撤回を」(16日付)、『毎日新聞』は「日韓の軍事情報協定 失効させぬ努力最後まで」(19日付)、『東京新聞』が「GSOMIA 結束し失効回避目指せ」(同)、『読売新聞』は「GSOMIA 『日米韓』安保協力の試金石だ」(16日付)。

さらに通告の停止が伝えられた後からはどうか。通告停止翌日の23日における各紙の社説見出しは『朝日新聞』が「日韓情報協定 関係改善の契機とせよ」、『毎日新聞』は「日韓情報協定の維持 最悪の事態は回避された」、『東京新聞』が「GSOMIA 失効凍結を次に生かせ」、『読売新聞』は「GSOMIA 韓国の破棄見直しは当然だ」、『産経新聞』は「GSOMIA延長 日米韓の協力を立て直せ」。

以上のような方向と傾向は『日本経済新聞』や各地方紙もほぼ同様だと考えてよい。

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