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原子力行政の杜撰な管理実態 
規制委の文書ファイル約1万8400件行方不明

添田孝史|2020年1月21日10:48AM

記者会見する規制委の更田豊志委員長。2019年11月27日。(撮影/添田孝史)

原子力規制委員会が、行政文書ファイル約1万8400件を行方不明にさせていることを、インターネット放送局のOurPlanet―TV(以下、アワプラ)が明らかにした。どのような文書の所在がわからないかについては「リストを作成していない」と、事務局の原子力規制庁は明らかにしていない。リストがないのに、なぜ件数がわかるのか、規制庁は合理的な説明をしていない。

規制委はアワプラの2019年11月26日の報道を受けて、翌日の規制委会合に議題として急遽追加し、この事実を明らかにした。

行政文書ファイルとは相互に密接な関連を有する行政文書を一つにまとめたもの。規制庁の説明によると原子力安全・保安院や文部科学省、独立行政法人の原子力安全基盤機構など規制委の前組織から引き継いだ約10万1000件のファイルのうち約9100件の存在が確認されていない。また、すでに確認作業が済んだはずのファイル9万5500件のうち約9300件は現在の保管場所がわからず、行方不明になっているという。

規制庁の児嶋洋平・総務課長は、前者の約9100件については、「もう探しても出てくる可能性はない」という。前組織からリストだけ渡され、文書本体がなくなっていたか、あるいは文書は他のファイル名で整理されてしまっている(二重登録)か、どちらかではないかという。

後者の約9300件については、「どこかにあるはずだ」と話している。

【その名も「化石文書」とは?】

文書管理を担当する規制庁職員が国立公文書館に提出した論文で、この「行方不明」の背景を説明している。規制庁は12年9月の発足時、前組織から原子力規制に関わる公文書を引き継いだ。それらは規制庁内で「化石文書」と呼ばれ、その整理は17年10月までほとんど手付かずだった。

論文では「目の前の業務に忙殺されている各課室の職員や文書管理担当者にとって、これら大量の化石文書は、過去の負債でしかないという意識が強かった」と述べている。また「文書管理担当者には、入庁一年目、二年目という新入職員を据えることが常態化していた」「行政文書管理に向き合う意識が以前は希薄であったことの表れであったと推測できる」とも書いている。

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