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東京高裁の逆転判決に抗議の声
「裁判所はマタハラを許す気か!」
岩崎眞美子|2020年1月27日3:54PM
「裁判所がマタハラを許してどうする!」「女が普通に働き続けることがなぜこんなに難しいのか!」
2019年12月24日、霞が関の東京高等裁判所前で、11月28日に出たマタニティ・ハラスメント裁判逆転不当判決に対する抗議アクションがあり、昼休み、多くの人たちが行き交う官公庁街に怒りのシュプレヒコールが響き渡った。
同裁判は、語学学校運営会社ジャパンビジネスラボで正社員として講師をしていた女性が育児休業取得後、契約社員への雇用契約変更と1年後の雇い止めなどをマタニティーハラスメントだと訴えたもの。地裁判決では会社の対応を不法行為とし、雇い止めも無効としたが、東京高裁(阿部潤裁判長)は、原告側が求めた正社員復帰を認めないうえ雇い止めも有効とする判決を下した。かつ、女性がマタハラを訴えて行なった記者会見が会社への名誉毀損に当たるとして55万円の支払いを命じた。
スピーチに立ったジャーナリストの竹信三恵子さんは、高裁判決はマタハラ事件としてだけではなく、労働裁判、労働者の権利を著しく後退させる極めて悪質な判決であると訴えた。
「原告の働く権利と会社と対等に交渉し主張する権利を基本に据えていた地裁判決に対し、高裁判決は、会社が決めたことに従わなければならないという前提に立つもの。事実の認定を求めて起こした裁判の記者会見が、会社側への名誉毀損になるのでは、誰も訴えることはできなくなる」(竹信さん)
育児・介護休業法や男女雇用機会均等法においても、マタハラなどの女性労働者への不利益な扱いは禁じられている。
「育介法や男女雇用機会均等法はどこへ行ったのか? 会社が勝手に決めた制度が通用するのはおかしい」(マタハラNet代表理事の宮下浩子さん)
原告も「新たな闘いのスタート」と最高裁への上告受理申し出を行なっている。今後も注視していかねばならない裁判だ。
(岩崎眞美子・ライター、2020年1月10日号)