黒塗り「桜」文書で深まる安倍首相の「公選法違反」疑惑
片岡伸行|2020年2月10日11:54AM
内閣府が渋々開示した2013年の「桜を見る会」文書一式。招待者名簿はないが、その中には「安倍首相の公選法違反の疑いを隠したいから」としか思われない「全面黒塗り文書」が複数あった。隠せば隠すほど疑惑は深まる。
「なぜこれを黒塗りで隠さなきゃならないんだ!」
真っ黒に消されたペーパーを手に野党国会議員が声を荒らげたのは、1月27日夕に衆院本館内で開かれた第31回「桜を見る会」追及本部ヒアリングの場だ。
内閣府は同日、参院予算委員会理事懇談会の求めに応じ、2013年の「桜を見る会」に関わる文書一式を512ページという大部にわたって開示し、同じものを同ヒアリングに参加した国会議員に配付した。その中でひときわ目立つ「全面黒塗り」の文書をめぐって、野党側と内閣府側の応酬が続いた。いくつかの文書の黒塗りの理由を読み解いてみよう。
【新宿御苑案内図】
例年、「桜を見る会」の会場となっている新宿御苑。広さは東京都新宿区と渋谷区にまたがる58・3ヘクタール、年間約250万人が訪れる。
3カ所の入り口(大木戸門、新宿門、千駄ヶ谷門)から入園料を払って園内に入ると、誰もが手に取れるように園内の地図が置かれている。インターネットで検索すれば「園内マップ」がすぐに出てくるし、季節ごとの「みどころマップ」の印刷ページもある。
しかし、内閣府はその案内図を「今回、情報公開法にのっとって精査した」として真っ黒に塗りつぶした。「単純な地図ではなく、どこに本部が置かれるかなどが書かれているから」と不開示理由を説明したが、まったく説得力がない。本部の場所がわかったからといって、何の不都合があるのか。
不都合があるとすれば、安倍晋三後援会「御一行様」の乗ったバス十数台が普段は開門していない「正門」から乗り入れたことがわかってしまうからではないか。