セブン本部の契約解除にオーナーは徹底抗戦
粟野仁雄|2020年2月13日11:56AM
コンビニ業界が従来の店舗数拡大路線を見直す動きの中、セブン―イレブン東大阪南上小阪店のオーナー・松本実敏さん(58歳)が独自の闘いをしている。松本さんは昨年12月31日付でセブン―イレブン・ジャパン本部(東京)からフランチャイズ契約の解除を通知された。理由の趣旨は「顧客からの苦情が異常に多い」だった。
客のマナーの悪さに悩んだ松本さんは(1)駐車場の有料化(2)トイレを貸さない(3)ゴミ箱を外に置かない、などの処置を取っていた。怒りのあまり怒鳴ったりすることもあり、客から本部に抗議されたりネットなどで批判もされていた。
12月20日に本部側と協議した松本さんは「怒ったことにはすべて理由があるが、私は口が悪いので反省すべき点は反省することなどを伝えていた。それが10日間で解除通知されてしまった」と憤る。
解除で仕入れがストップし商品がなくなり、1月8日に店を閉め現在「休業状態」。前日に松本さんを店に訪ねたが、棚には残り少ない「投げ売り価格」の品があるだけだった。収入が途絶え「廃棄食品も底をつき自炊しています」。
松本さんは昨年2月、それまでの24時間営業をやめ深夜1時から朝の6時までは閉店に踏み切った。「手伝ってくれていた妻ががんで亡くなり回らなくなった。人手不足でバイト代も高騰している。結局、深夜や未明に開けていてもその時間帯は赤字なんです」。しかし時短について本部側は「契約違反だ」と1700万円以上の「違約金」を求めてきたという。
長年営んだ工務店を畳んだ松本さんは2012年2月に開店した。店のオーナーとして働くための本部とのフランチャイズ契約は、松本さんの場合、土地などは本部が借りるCタイプ。しかし「自己資金250万円で開業できるということでしたが、事務用品や開店時の商品などで1000万円ほど払わされた」と振り返る。
松本さんは「セブンの本部は缶コーヒー一つでも売れれば自動的にチャージが入る仕組み。光熱費や人件費など店のコストのことなど彼らに関係ない。だからいくらでも商品を発注させる」と説明。ツイッターでもこうした「本部による搾取」や「セブンペイ問題でも社長が謝罪もしない」などについて、厳しく会社を批判してきた。