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ホームヘルパーら国賠訴訟で意見陳述 
「権限の不行使は違法」

西村仁美|2020年2月18日11:39AM

第1回弁論を前に東京地裁前で手作り横断幕を広げる原告と弁護団と支援者たち。(撮影/西村仁美)

登録型の訪問介護員(ホームヘルパー)ら3人(藤原路加さん等)が国を相手取り起こした損害賠償請求訴訟(本誌昨年11月22日号参照)の第1回口頭弁論が1月20日に東京地裁(小田正二裁判長)で開かれた。「訪問介護現場での労働基準法の遵守されていない状態を正すのに、厚生労働省が規制権限を行使しないのは違法」とするものだ。

当日、傍聴用の50席を上回る傍聴希望者が駆け付けた。初回は主に原告らが意見陳述、「(労基法があっても、現行の介護保険制度下では労働環境は守れず、ひいては利用者の人権も守れないという前提で)人相手の仕事なのに丁寧な仕事は一切できなくなり、介護の基本の本人の同意は有名無実」(伊藤みどりさん)、「介護報酬は出来高払いのため、(ヘルパーの安定した収入を)補償すると事業所運営が出来なくなる」(佐藤昌子さん)、「(2・5人で事業所を設立できるとする国の基準があり)そんな規模で、労働環境を守りながら『ケアの質』を高めていくことができるとでも言うのでしょうか?」(藤原さん)などと主張した。

国は答弁書を通じ、「事業所に対し労基法を守るよう適正に行政指導を繰り返して来ており、国の規制権限の不行使には当たらず違法ではない。違法な労働環境と言うなら、それは事業所とヘルパーとの契約の中での話」と主張、争う姿勢を見せている。

閉廷後、衆議院第2議員会館での裁判報告集会には60人強が参加。福岡県から傍聴に駆け付けた介護老人福祉施設の職員は、介護保険サービスの仕組みに違いはあっても「働く施設でもサービス残業というのはすごく多い」などと発言した。担当の山本志都主任弁護士によれば「国の規制権限の不行使の違法性」などが今後、裁判の争点になる見込みだ。

次回は3月30日、東京地裁803号法廷で14時から開かれる。

(西村仁美・ルポライター、2020年1月31日号)

 

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