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子どもの貧困対策法改正後も進まぬ自治体の取り組み
小宮純一|2020年2月20日6:45PM
2019年6月に見直し改正された「子どもの貧困対策の推進に関する法律」「子どもの貧困対策に関する大綱」は都道府県と市区町村に対して基礎自治体としての計画策定を求めた(努力規定)ものの、実際に計画を作成しているのは145市区町村にとどまっている(19年6月12日現在。内閣府調べ)。独自に施策を持つ自治体が全体の1割にも満たない状況を打開するため先行自治体の教訓を学ぼうとの集会が2月2日に東京都千代田区の日本教育会館で開催された。「なくそう!子どもの貧困」全国ネットワークが主催した。
厚生労働省の国民生活基礎調査によると、日本の17歳以下でOECD(経済協力開発機構)基準の「貧困線(世帯の可処分所得を世帯人員の平方根で割り、調整した所得の中央値の半分)に満たない子どもの割合=子どもの貧困率」は15年で13・9%。7人に1人が該当するとされている。そうした実態を可視化しようと基礎自治体として行なった実態調査や、それに基づいた施策化の経験を鹿児島県鹿児島市、福井県越前市、東京都世田谷区の担当者が報告した。
「施策としては地味だとされたり、雇用問題は国が行なうべきだとされ、議会や行政内部に子どもの貧困対策を自治体が行なう目的が理解されにくく、タテ割り意識も強い」などの苦労や「子どもの実態調査データに基づいて支援計画を作る際に、どこが担当するかも明示して一覧にした」といった工夫が紹介された。
世田谷区からは「(1)低所得(2)家計の逼迫(3)子どもの体験や所有物の欠如、という3要素から貧困周辺層、困窮層を抽出した。両者を足したものを《生活困難層》と分類した結果、区内の子どもの1割超(約1万2000人)が生活困難層に該当し、その8割は2人親世帯の子どもだった」との報告があり、参加者は驚きを隠せない様子だった。
(小宮純一・ジャーナリスト、2020年2月7日号)
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