京都市長選、共産・れいわ推薦候補が健闘
土岐直彦|2020年2月25日4:13PM
3氏による激戦となった京都市長選は2月2日に投開票され、現職の門川大作氏(69歳)=公明党、自民党・立憲民主党・国民民主党・社民党の各京都府連推薦=が、共産党とれいわ新選組が推薦した弁護士の福山和人氏(58歳)と地域政党出身の前市議・村山祥栄氏(41歳)を破って4選を果たした。福山陣営は市民が前面に立つ選挙団体を立ち上げ、政党と共闘して健闘したが、保守の堅い組織票に阻まれた。敗戦の弁で福山氏は「市民が政治をつくっていく太い流れはできたのではないか」と意義付けた。得票数は門川氏21万640票、福山氏16万1618票、村山氏9万4859票。投票率は40・71%(前回35・68%)だった。
京都は伝統的に共産支持層が厚い。門川氏が初当選した2008年の同市長選挙(4人が立候補)では次点の共産推薦候補との差は951票。今回再挑戦した村山氏は当時も約2割の票を獲得した。今回も似た構図に門川陣営は危機感を強め、「市庁舎に赤旗が立ってはいけない」などと煽った。
門川陣営は1月26日付の『京都新聞』朝刊に1ページ中の3分の2の大きさで広告を掲載。「大切な京都に共産党の市長は『NO』」と大きな見出しを掲げ「わたしたちの京都を共産党による独善的な市政に陥らせてはいけません」と批判。「ONE TEAMで京都の未来を守りましょう」と著名人9人の名前と顔写真を掲載したが、そのうち日本画家や放送作家は掲載後ネット上で「特定の党を排他するようなネガティブキャンペーンには反対」「事前の説明も、了承もなく、掲載された」と反発。ネットでは「赤狩り広告」「ヘイト」といった批判があふれた。
一方で福山陣営は同じ大きさ、同様の体裁の「カウンター広告」を1月30日付『京都新聞』朝刊に出した。門川陣営の文言に対抗、「大切な京都だから全ての市民の声を聴く市長に『YES』」との見出し。土建型政策に対抗して、「返さなくてもいい奨学金」「小学校のような中学校給食」といった「市民のくらし丸ごと応援」の政策を並べた。パロディ風の大人の対応で、共感を持たれた。
国政では共闘しながら門川支持に回った野党3党。「共産対非共産」という捻れの構図は京都では毎度のことだ。地元選出の福山哲郎・立憲幹事長は「京都で共産と組んだら政治生命がなくなる」と福山陣営幹部に釈明したという。腐朽する安倍政権に対峙する野党としてはたしてこのままでいいのかが今まさに問われている。