「青海地区にカジノはいらない!」
夏の東京都知事選の争点に
2020年3月5日11:54AM
【都が「黒塗り文書」開示】
最有力候補と目されながら、公には名乗りを上げていない東京都だが、実はひそかにカジノ誘致への動きを進めてきた。候補地として浮上しているのが臨海地域、江東区の「青海地区」である。
「小池百合子知事は知事選前にカジノに触れてほしくない。これまで『IRはカジノだけではない』などと言ってごまかしてきたが、情報開示請求をしたら2016年には職員を英国にギャンブル依存症調査で派遣し、17年と18年にも業者に調査を委託するなど、黒塗りの文書がいっぱい出てきた」
前述の1月17日に江東区文化センターで開かれた学習会「江東区にカジノはいらない!!」で報告に立った畔上三和子東京都議(日本共産党)はそう述べ、「議会に開示されていない資料はまだたくさんある」と指摘。「一丁目一番地は情報公開」という小池知事の公約はどこへやら、だ。開示文書に「有力な候補」と記されていたのが「青海地区北側」だ。
学習会で講演した鳥畑与一静岡大学教授は「東京にはカジノ以外の観光資源がたくさんある。依存症を増やさないとカジノは儲からない。人の不幸によって成り立つビジネスだ。社会的コストが地域社会にのしかかり、経済効果も疑問」などとして、東京都のカジノ構想の危険性を説いた。
2月8日には「江東区にカジノはいらないネットワーク」などの市民団体が東京・豊洲でアピール行動を展開。同区在住の宇都宮健児弁護士、前出の畔上都議らがマイクを握り、「知事選(7月5日投開票)のあとにカジノ誘致表明の可能性がある。『白紙』と言いながら市長に当選し『誘致』に舵を切った横浜の二の舞にならないよう都知事選の争点にしよう」などと反対署名を呼びかけた。
同ネットワークは10日、江東区長・区議会議長宛てに、わずか3週間あまりで集約した第一弾の署名計1504筆を提出し「カジノ誘致反対」の要請と陳情をした。24日には現地見学会も予定。「江東区を出発点に、東京にも日本のどこにもカジノを作らせない運動を広げたい」としている。
(片岡伸行・記者、2020年2月21日号)