「報ステ」スタッフ大量契約終了でマスコミ労組緊急集会
岩崎貞明|2020年3月5日5:18PM
【集会で当事者の声を紹介】
民放労連やMICではテレビ朝日に対して契約終了の撤回を求める声明などをすでに出しているが、報道番組のスタッフ放出は雇用不安の問題のみならず報道・ジャーナリズムの質の確保の観点からも重要な問題をはらんでいるとして、より広く世論に訴えるために緊急集会の企画に至った。
集会では、南彰MIC議長(新聞労連委員長)が事態の経過について説明。同番組の政治報道が減少しているなど“政権への忖度”を指摘。そして、契約終了とされた当事者の声が紹介された。
「世の中に届けなければならないことは何なのか、時には闘いながら、毎日の放送を出してきました。今回の事態は、そうした現場スタッフの姿勢を否定するものだと受け止めざるを得ません」
「少しでも政治や社会や日本がよくなればとの思いで、番組のため10年以上尽くしてきたのにまるで使い捨てされたようで残念です」
「基本給も社員とは雲泥の差がある現状で、さらに残業代や休日出勤手当も出ない中、日本で一番見られている報道番組との自負もあり頑張ってきた。今回、このような雇い止めにあい、自分たちの契約状況が希薄で脆弱だと改めて思い知らされた」
集会に参加した中野麻美弁護士らは、この問題がテレ朝にとどまらない日本のメディア全体の問題だと危機感を募らせた。ビデオメッセージを寄せたTBS「報道特集」キャスターの金平茂紀氏は「番組づくりや報道に関わっている人たちの中で、それなりの権限を持っている人たちに恐ろしいほどのスピードで腐敗、劣化、堕落が起きていると思っている」とメディア企業の現状を批判した。
集会では「実力のあるスタッフが安心して働くことができ、十分に力を発揮できる環境づくりをメディア企業に強く求めます」などとする「集会宣言」を満場の拍手で採択。同宣言をテレ朝やスポンサー企業に送付することとした。(テレビ朝日広報部は「派遣元の会社に対し、今後も当社の別の報道情報番組の制作に携わって戴けないか提案し、多くの派遣元と具体的な話し合いが進んでいます」と本誌編集部の取材に回答した)
(岩崎貞明・日本マスコミ文化情報労組会議(MIC)事務局長、2020年2月21日号)