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新型コロナウイルス対策はWHOとデータシェア 
AMED理事長が講演

秋山晴康|2020年3月13日1:03PM

「科学にはオートノミー(自律性)が必要」と語るAMEDの末松理事長。(撮影/秋山晴康)

日本科学技術ジャーナリスト会議(JASTJ、佐藤年緒会長)は、2月20日に日本医療研究開発機構(AMED)の末松誠理事長を迎えて緊急講演会を開いた。

昨年8月の大坪寛子厚労省大臣官房審議官による京都大学iPS細胞研究所の山中伸弥教授へのiPS事業の補助金削減の通達にはじまり、医療研究資金配分を行なうAMEDの予算や運営をめぐり、官僚の介入が議論を呼ぶ事態になっている中で、末松理事長自身が「ぜひサイエンスの話がしたい」とのことで講演が実現した。

「どうなる? 『日本版NIH(アメリカ国立衛生研究所)』の未来」をテーマに、末松理事長は2015年のAMED発足からの5年間を振り返り、「最初の3年半は互いのコミュニケーションが取れて十分に稼働していたが、それ以降はなかなかうまくいかなくなった」とし、大坪審議官が次長を務めてからの内閣官房健康・医療戦略室との関係悪化を吐露した。

末松理事長は、医療研究開発のオートノミー(自律性)について訴えるとともに、山中教授の問題に触れ、「決定プロセスが不明確で、これは山中先生だけではなく、みんなの問題であるということを科学のコミュニティは知るべきだ」と主張した。

新型コロナウイルスについても言及し、「1月31日のWHO(世界保健機関)の本部会議で、新型コロナウイルスに関するデータシェアリングポリシーに調印した」と報告。これにより新型コロナウイルスのデータが発信された場合、論文に投稿される前にWHOでシェアし、日本においても感染症流行に対処するための研究データや結果をいち早く共有することが可能になったという。

また、国立感染症研究所と東京大学医科学研究所に4・6億円の予算を配し、新型コロナウイルスの診断キットの改良・量産を目指していることについて述べた。

(秋山晴康・編集部、2020年2月28日号)

 

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