「新型肺炎」口実に日本第一党がヘイトデモ
東京・銀座
崎山勝功|2020年3月26日11:37AM
排外主義政策を掲げる政治団体「日本第一党」主催の「新型肺炎から日本人の命を守ろう!国民大行進」デモが2月29日、東京都内で催された。同団体は公認候補の原田陽子氏(45歳)が茨城県那珂市議選(2月16日投開票)で定数18中16位で初当選し、新型コロナウイルス流行によるマスク不足などの社会不安に乗じ、外国人排斥運動が再燃する恐れがある。
デモでは、同団体の支持者ら約100人(捜査関係者による)が東京駅付近や銀座周辺をデモ行進した。デモ隊は旭日旗などに加え、ウイグル族旗やチベット旗、中国政府批判と中国人差別を混同した内容のプラカードを掲げており、新型コロナウイルス流行と中国人差別を結び付けて事実上の「ヘイトデモ」を正当化し、安倍政権に批判的な層にも支持を広げる狙いが見られる。
カウンター行動を取る市民たちは歩道から「ウイルスを口実にヘイトスピーチやめて」などのプラカードを掲げ、「レイシスト帰れ」などと大声で抗議した。デモ隊の一部がカウンター行動を阻止しようとする動きも随所で見られた。
首相官邸前では、同団体の桜井誠党首が中国人の蔑称「シナ人」などを用い、中国人・韓国人の入国阻止と、習近平国家主席の国賓訪日取り止めを求める趣旨の演説を行なった。
同団体は今年6月18日告示、7月5日投開票の東京都知事選挙に桜井党首が立候補する意欲を見せ、次期衆院選の公認候補者を3人も内定。地方議員選挙でも今年11月頃に執行予定の茨城県つくば市議選で同団体公認候補が立候補する動きも見られる。
若年層の間ではヘイトスピーチ解消法施行後も動画投稿サイトなどで流される同団体や支援者の主張を鵜呑みにする例が跡を絶たない。いかに若年層に向け「ヘイトスピーチは犯罪行為」との認識を啓発するかが課題になっている。
(崎山勝功・元『常陽新聞』記者、2020年3月6日号)