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五輪で「原発被災からの復興」を装う安倍首相 
「常磐線で聖火」の裏側

新藤健一|2020年3月30日12:40PM

【災害を逆手にとった巨大利権】

双葉駅から国道6号線を横切り太平洋側の産業拠点になった広大な両竹、中浜地区に向かった。地盤沈下した湿地帯には重機が土砂を落とし、完成した区画には大型トラックが砂塵を上げ、列をなしていた。付近ではすでに準備が進み、白い巨大なテントを張ったビルのような施設も点在。中間貯蔵施設を請け負う建設関連企業17社の進出が決まっている。

コロナ禍で超多忙な安倍晋三首相も6日夜に富岡町に宿泊。7日朝には試運転列車に乗車し富岡駅から双葉駅に移動した。訪問の主目的は常磐自動車道・常磐双葉ICの開通式への出席と浪江町に開所した水素製造拠点の視察だ。

ここで安倍首相は福島水素エネルギー研究フィールド開所式で水素を使った燃料電池車に試乗。「再生可能エネルギーから水素を生み出す世界最大の施設が稼働します。製造されるクリーンな水素は年間200トン。原発事故で大きな被害を受けた福島から未来の水素社会に向けた新しいページが今まさに開かれようとしています」と述べた。さらに「26日にはここ福島から2020年聖火リレーがスタート。その火を灯すのはこの場所で生まれた水素です。五輪・パラリンピックの大会期間中、自動車やバスが水素で走り、選手村では水素を活用した電気が利用されます」と五輪開催のプレゼンで約束した、原発事故が自らのコントロール下にあることを強調。得意満面だ。

首相の福島訪問は20回に及ぶが、背景にあるのは経済産業省が推進する国際研究産業都市構想という災害を逆手にとった廃炉処理、新エネルギー開発などの巨大利権。その予算規模は青天井だ。

(新藤健一・フォトジャーナリスト、2020年3月13日号)

 

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