コロナ対策、児童手当に3万円の上乗せを
NPO法人らが政府に要望
岩崎眞美子|2020年4月3日6:03PM
3月12日、貧困家庭の子どもやひとり親家庭を支えるNPO法人らが、新型コロナウイルス感染拡大で経済状況が厳しくなる子育て家庭に3万円の児童手当上乗せを政府に求める記者会見を開いた。
「一斉休校により子育て家庭では予定外の支出が増えています。特に4~5月は進学などで一番お金がかかる時期。ここでの収入減がどれだけ負担になるか」(NPO「キッズドア」・渡辺由美子理事長)
特に打撃を受けるのがひとり親家庭だ。NPO「しんぐるまざあず・ふぉーらむ」の会員向けアンケートでは、ひとり親家庭の50%近くが新型コロナウイルスの影響で収入減、5%が収入がなくなると回答。シフトや勤務時間が減る例だけではなく、休校の子どもをひとり家においておけず仕事に行けない、昼食代や自習用の教材費なども嵩み、ただでさえ苦しい生活がさらに圧迫されている。
「国が休業補償を行なうと発表したのは良いが、申請方法も非公開で支給時期もわからず、不安を感じている人も多い。最も困っているところに直接かつ迅速に届けるためには、すでに支給されている児童手当に臨時給付金として3万円を支給するのが一番良い方法だと考えます」(しんぐるまざあず・ふぉーらむ・赤石千衣子理事長)
児童手当は中学生以下の子どもを持つ家庭に、子ども一人あたり原則月額1万円から1万5000円支給される。既存の制度を使うため、外国人家庭など通常の政策では支援が届きにくいところにも迅速に支給することができる。両NPOは現在ウェブサイト「change・org」で署名を集めており、近々安倍晋三首相あてに要望書を提出する予定だ。
「日本は子どもや子育て家庭への税の再分配が非常に少ない。高齢者向けの給付金は過去にも例があり、実現は難しくないはず。早急に実現してもらいたいし、署名にもぜひ協力を!」(渡辺さん)
(岩崎眞美子・ライター、2020年3月20日号)