新型コロナ「労働相談」、事例さらに深刻化
雇い止めや内定取り消しも
片岡伸行|2020年4月7日4:35PM
「新型コロナウイルス」感染拡大による自粛に次ぐ自粛で、多業種の経済活動が縮小される中、働く者に深刻な影響が出始めた。
全国一般東京東部労働組合の支部「ジャパンユニオン」(菅野存執行委員長)は3月20、21の両日、東京都葛飾区にある同労組事務所で「倒産・店舗閉鎖・クビ切り・派遣切りNO! 新型コロナウイルス関連 雇用不安集中労働相談」を受け付けた。労働相談は2月にも実施されたが、「イベント自粛」関連だけでなく幅広い業種で賃金や雇用を脅かされる事例が目立ってきた。
▼1カ月近く休まされたが、賃金が補償されず、電気・水道が止められそう ▼熱が続いたため会社から休んでくれと言われ、その後、ようやくPCR検査を受けたが、「陰性」と会社に報告したら「休業補償は出ない」と言われた ▼契約社員として店舗で働いているが「客が減少したから」として今月いっぱいでの「雇い止め」を通告された ▼ある企業に就職の内定を受けていたが、「四国に旅行に行ったから」「通勤時間が1時間半と長いから」という理由で内定を一方的に取り消された――。
相談件数は両日で40件近く。菅野委員長によると、その9割ほどが「休業補償」に関する相談で「内容は前回2月に比べ、より深刻になっている」という。
「臨時休校」要請で休まざるを得なくなった保護者の賃金を補償する助成金の申請受付は3月18日から始まったが、手続きをするのは企業で、助成制度を利用するかどうかの判断も会社次第だ。「保護者」以外の労働者で休業を強いられた場合は賃金補償されない場合があり、混乱も予想される。
菅野委員長は「会社や店側の都合で休まされた場合、休業補償を要求できます。会社側が申請を拒否したり賃金を払わないのなら、労働組合として会社に要求・交渉する必要があります」と話す。
(片岡伸行・記者、2020年3月27日号)