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近畿財務局職員の遺族が国と佐川元理財局長を提訴

粟野仁雄|2020年4月10日7:49PM

会見で黒塗り情報公開資料を示す生越照幸弁護士(右)と松丸正弁護士。(撮影/粟野仁雄)

「改竄は誰が何のためにやったのか。土地の売り払いはどう行なわれたのか、真実を知りたい」

大阪府豊中市の国有地が8億2000万円も値引きされた森友学園問題。売却関連の公文書改竄に従事させられて自殺した財務省近畿財務局職員・赤木俊夫さんの妻が3月18日、「改竄の強制は自殺との間に相当因果関係がある」と、国(財務省)と佐川宣寿元国税庁長官を大阪地裁に提訴した。売却地で開校予定だった「瑞穂の國記念小學院」の名誉校長は安倍晋三首相の妻・昭恵氏だった。

提訴後、代理人の生越照幸・松丸正両弁護士が赤木さんの手記や遺書を公開した。「家族(もっとも大切な家内)を泣かせ、彼女の人生を破壊させたのは、本省理財局です」「決済文書の調書の差し替えは事実です」「元は、すべて、佐川理財局長の指示です」「佐川理財局長(パワハラ官僚)の強硬な国会対応がこれほど社会問題を招き、それに指示NOを誰れもいわない」「最後は下部がしっぽを切られる。なんて世の中だ。手がふるえる。恐い」などとある。

値引き問題が明るみに出た2017年2月17日、安倍首相が国会で「私や妻が関係していたら総理大臣も国会議員も辞める」と断言した。改竄はその直後だった。訴状によると、赤木さんは2月26日に上司に呼び出され、財務省と森友学園との交渉記録や昭恵氏の名を消すなどさせられた。「こんなことをする必要はない。改竄は犯罪です」と泣いて反対していた。

佐川理財局長(当時)が「野党に資料を示した場合に森友学園を厚遇したと取られる疑いがある箇所はすべて修正するように」と近畿財務局に指示していた。連日、午前2~3時までの長時間残業が続いた赤木さんは7月にうつ病を発症し休職。転勤を希望したが拒否された。異動先で上司の目が届かなくなり、改竄事実を暴露されることを佐川局長は恐れた。

大阪地検の事情聴取が始まる頃「改竄は本省のせいなのに最終的には自分のせいにされる」と自殺を口にし始める。18年3月2日、『朝日新聞』が改竄を報じると「死ぬ場所も決めてる」と遺書を手に外へ出ようとし、妻が必死に止めた。5日後に自殺してしまう。

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