君が代不起立2009年訴訟、東京高裁で根津さん逆転勝訴
懲戒処分は「違法」と指摘
永尾俊彦|2020年4月21日1:30PM
【「大阪が救われる」根津さんの第一声】
根津さんは、「この判決を聞いて最初に思ったのは『大阪が救われる』ということです」と語った。
大阪府では、橋下徹元知事が主導し、府職員に君が代の起立斉唱を義務付ける国旗国歌条例が2011年に成立。12年には同一の職務命令に3回違反すると免職になる職員基本条例が制定され「スリーアウト制」が始まっている。府内の公立学校では12年から19年までに不起立などで71人が戒告、減給などの処分を受けたが、免職はまだない(「日の丸・君が代」強制反対・不起立処分を撤回させる大阪ネットワークによる)。
不起立ですでに戒告処分を2回受けている大阪府立高校教員、増田俊道さんは「私は『次回同じ処分を受ければ免職』と大阪府教委から警告されましたが、今回の東京高裁判決からすれば、これは『強い心理的圧迫』であり、3回で免職のスリーアウト制は違法になるはずです。根津さんの逆転勝訴に強く励まされました」と話した。
停職期間中、根津さんは毎朝「校門出勤」を続け、生徒たちに挨拶し、教え子との交流を重視する姿を見せてきた。「私が立っていることで『嫌なことは嫌だと言っていいんだと気づきました』と言ってくれた生徒がいました」と根津さんは顔をほころばせて話した。
(永尾俊彦・ルポライター、2020年4月3日号)