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つくばエクスプレスで異常多発
内部告発が問う“新型車両”の問題点
片岡伸行|2020年5月1日4:14PM
東京・秋葉原と茨城県つくばを結ぶ「つくばエクスプレス」で、3月に導入された「新型車両」の異常が多発している。車両を製造した日立製作所が故障原因を探っているが、その最中にも不具合はやまない。走らせて大丈夫なのか!?
鉄道会社の使命は、言うまでもなく「安全運行」である。新型コロナウイルス感染拡大で乗降客が激減しているとはいえ、路線距離約58キロメートル(20駅)の「つくばエクスプレス(TX)」は1日平均数十万人が利用。運行するのは首都圏新都市鉄道(株)(本社・東京都千代田区神田練塀町、柚木浩一代表取締役社長)だ。
ところが今、乗務員の間ではこんな言葉が囁かれているという。
「新型車両だけは怖くて、乗りたく(運転したく)ない」
【立て続けに異常発生】
同社では3月14日のダイヤ改正に合わせて新型車両「TX―3000系」を導入した。同社プレスリリースによれば、この新型車両の投入で〈平日朝ラッシュ最混雑時間帯〉に〈大幅な混雑緩和を図る〉という。
しかし、新型車両の運行からしばらくして、筆者の元に次のような内部情報が寄せられた。
〈日立製作所が製造したTX新型車両3000系の不具合が頻発しています〉
五月雨的に送られてきたメールによると、運行開始から2週間だけでも計10件の異常が多発している(別掲「告発メール」参照)。
「81編成」「82編成」とは3000系の個々の電車につけられた番号で、同社では81から85まで5編成を配備。しかし、トンネル内で火花が散ったという「85編成」は目下、試運転にすら入れない状態だという。メールにはほかにもいくつかの専門用語があるが、何らかの異常が多発していることだけは素人の筆者にもわかる。
内部告発者はこう指摘する。
「一番の問題は、故障が出たりする現象が解決されていないのにまた走らせていること。ダイヤ改正までギリギリのスケジュールで余裕なく準備し何とか間に合わせたけれど、試運転で十分な微調整ができていないまま走らせた。とくに問題なのは、制御不能になり、みどりの駅で臨時停車後、それを電源リセットして、つくば駅まで運転を再開したこと。安全を考慮し運転を打ち切るべきでした」
その後も、新型車両の不具合は収まらない。3月28日にはドアの故障で柏たなか駅で乗客を降ろし、4月8日には南千住駅でやはりドア故障が発生したという。
【製造元でコロナ感染】
首都圏新都市鉄道に事実確認を求めると、前述した異常事例を大筋で認めながらも「いずれも乗客の安全を脅かすものではありません」とし「現在、製造元の日立さんと一体となって解決に当たっています」(広報課)と説明する。
ところが、その日立製作所(東原敏昭執行役社長兼CEO)では、3月17日に社員が新型コロナウイルスに感染し、約1000人が働いている水戸事業所(茨城県ひたちなか市)は事実上閉鎖された。日立の発表によれば、感染が確認された従業員と同じ建屋の就業者全員に自宅待機を指示。 その後、3月26日になって「緊急対応」として、東京都内の拠点約150カ所(従業員約5万人)と東京都以外についても自治体の要請があれば〈原則在宅勤務〉とした。
「そのような状況ではありますが、日立さんには緊急案件として新型車両の点検・調査を実施していただいております」(同)
製造者責任があるので緊急対応は当然と言えば当然だが、本来であれば原因を特定し、それが解決するまで3000系の車両運行をストップさせるのが鉄道会社として取るべき対応ではないのか。
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