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つくばエクスプレスで異常多発 
内部告発が問う“新型車両”の問題点

片岡伸行|2020年5月1日4:14PM

〈新型車両3000系の不具合が頻発〉とメール送付されてきた内部告発の声。(撮影/片岡伸行)

【お金のかけどころ違う】
TX乗務員の声を紹介しよう。

「以前の2000系の製造費は約12億円、3000系は約14億円とされていますが、基本的な構造は同じ。東日本大震災時、コスト削減で車両の窓が開かない“はめ殺し”構造であったため、長時間運転ができなくなることが問題になりました。ところが、新型になっても同じ“はめ殺し”です」

コロナ感染防止で東京メトロや小田急、西武、東武、京急、京成などの私鉄では「窓開け走行」を実施しているが、“はめ殺し窓”のTXは構造上できない。

問題はそれだけではない。

「新型と言っていますが、停電時にも走行できる蓄電池装備(非常用バッテリー)の装着も見送られました。社員アンケートではこの2つの装備を望む意見が多かったのですが、安全と快適よりコストを重視してしまう。デザインなど見た目ばかりにこだわって肝心なところにお金をかけない。コロナ感染の真っ最中に人を呼び寄せる新型車両の出発式典を開催したり、廃棄すると損失になるからと記念乗車券の発売やスタンプラリーの開催に踏み切ったり(のちに中止)、お金のかけどころを間違えています」

【新型ではなく「改造車」?】
安上がりの車両だから不具合が多発するわけではないと思うが、実は、同社が「新型車両」と銘打っている3000系は「新型」ではないと指摘する声もある。

同社に確認を求めると、同車両を国土交通省関東運輸局に登録したのは2019年12月5日で、「登録の名称は〈TX3000〉」(広報課)だという。しかし、実態として2000系を改造したものではないかと再度確認を求めると、「改造車ではありません。ただ、申請書類は〈2000系の構造装置変更〉として届け出をしている」(同)。構造変更のことを日本語では「改造」というのではないかと思われるが、実に紛らわしい「届け出」だ。

柚木社長は4月1日に守谷駅で行なわれた入社式で、39人の新入社員に「行動に責任を持ってほしい」などと訓示したという(『茨城新聞クロスアイ』4月2日配信)。異常多発の「責任」は製造元にだけあるのだろうか。

【2週間で10件!「告発メール」に基づく3000系の不具合】
3月14日 「新型車両3000系」を導入し2年ぶりのダイヤ改正。
3月16日 非常ブレーキが突然作動する異常が発生。
3月22日 81編成が「2次側ルーター」電送異常。
3月23日 朝、84編成に前日と同じ現象。両編成ともに「守谷~みらい平」間で異常表示。
同日夕、朝に異常が出た車両が「守谷~みらい平」駅下りで同様の異常発生。つくば駅で「パンタグラフ下げ電源リセット」。
3月24日 浅草駅で82編成のドアが一部開かない異常が発生。
3月25日 守谷駅で82編成のドアが開かず、コントロールユニットを予備のものに交換。同日、84編成の車両制御装置に不具合が発生し「みどりの駅」に臨時停車。車両の制御が一切できなくなったことからリセット操作。つくば駅まで運転し「回送」にして運休。
3月27日 新御徒町駅で82編成のドアの一部が開かない異常。
3月28日 未明、85編成が夜間試運転で守谷駅からつくば駅に向かって走行中、つくばトンネル内で漏電により火花が散って煙が立ち込める。
(作成/片岡伸行)

(片岡伸行・記者、2020年4月24日号)

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