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新型コロナ、生活困窮者・路上生活者への対策を急げ

2020年5月2日7:00AM

新型コロナウイルスの感染拡大で、生活困窮者・路上生活者など、弱い立場にある人びとが追いつめられている。緊急事態宣言の対象自治体となる東京都では、インターネットカフェの閉鎖や、生活保護者への相部屋提供など、住まいの問題が急迫している。

 

東京都福祉保健局に要望書を提出する北畠拓也さん(左手前)。一人おいて稲葉剛さん。4月3日、東京都庁。(撮影/編集部)

「東京都の調査では“ネットカフェ難民”(住居不安定就労者)が都内だけで約4000人いると言われています。新型コロナウイルスの感染拡大で店が閉鎖されると、そうした人たちが路上に放り出されることになる。行政には早急な対応が求められているのです」

そう語るのは、生活困窮者などの支援活動を行なう(一社)つくろい東京ファンド(注1)の稲葉剛(いなばつよし)代表理事。同団体では、都内に25室を独自に借り上げ、個室シェルターや支援住宅として活用しているが、感染拡大による経済危機で生活困窮者が急増。民間支援だけでは、まったく追いつかない。

稲葉さんはまた、路上生活者や生活困窮者のセーフティネットであるはずの生活保護について、「現状では、無料低額宿泊所など『貧困ビジネス』のような相部屋施設への入所を紹介されて、かえって感染リスクが増大してしまう。それが怖くて生活保護の申請をためらう路上生活者も多いのです」 と根本的問題を指摘する。

そこで、こうした現状を踏まえて、4月3日、稲葉さんのほか、ホームレス総合相談ネットワーク、NPO法人TENOHASIなど、路上生活者や生活困窮者支援にかかわる団体・個人が、東京都に対して、生活困窮者への支援強化についての緊急要望書を提出。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、職や住まいを失う人、すでに失っている人に対して、公共施設の利用、ホテルの空き室や民間施設の借り上げなどで、「個室」を提供することを要望。また、民間支援団体と連携しながらの、巡回相談(アウトリーチ)の強化、支援ニーズの把握などを訴えた。

欧米では、新型コロナウイルス対応として、路上生活者に対してさまざまな支援施策を行なっている。英国などは、路上生活者が住めるホテルを借り上げたり、詳しいアセスメント(調査・評価)にもとづく支援ニーズの把握に努めたりしている。今回の要望は、こうした動きを踏まえたものである。

呼びかけ人で、デモクラティック・デザイナーの北畠拓也(きたばたけたくや)さんによれば、東京都に「コロナ不況で住まいを失う危険のある生活困窮者、路上生活者への緊急支援」を求めるウェブ署名も始まっている (http://chng.it/ZZcJvRPF)。

国が近々の緊急事態宣言表明を発表した4月6日、東京都は、失業等に伴う住居喪失者への一時住宅等の提供として12億円の補正予算を計上すると発表。前掲3日の緊急要望書などを受けて、インターネットカフェを利用せざるを得ない人などに対して、ビジネスホテルを借り上げて臨時に滞在できる場所を確保するとしたが、予算計上は僅か500戸分。約4000人の“ネットカフェ難民”には全く不足だ。小池百合子都知事は10日、ネットカフェなどに11日からの休業を要請したが、前述の批判の声を受けて、週末に急遽、2000室を確保するとした。

なお、生活困窮者が住まいを失う危険にあるときに、行政が支援の柱と位置付けているものに「住居確保給付金」制度があるが、この制度は離職者・廃業などの要件がある。そのため、稲葉さんらは要件の大幅な緩和を求めてきたが、4月7日、厚生労働省はこれを緩和。フリーランス等を含め、休業等に伴って収入が大幅に減少する人も対象とする旨発表した(注2)。

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