法的根拠に基づく強制と補償がセット--新型コロナ米国の対応
2020年5月3日7:00AM
4月6日現在(日本時間7日午前)、米国の新型コロナウイルスの感染者数は推定約36万人で世界最大、死亡者数は1万人を超えた。
筆者は、3月11日から25日まで、在籍する大学院の研究助成でニューヨーク市はじめ米国東部に滞在し、感染が拡大する直前の各都市をリアルタイムで体験した。
ニューヨーク市に滞在中だった3月13日金曜日、トランプ大統領は国家非常事態宣言を発した。市は同日の17時より、500人を超える人が集まることを、学校・レストランその他あらゆる場所で禁止。バーやレストランの場合、定員500人以上なら営業禁止、同未満なら定員の50%以下で営業することも求めた。
感染の拡大とともに、規制はさらに強められた。17日、市はバーやレストランの営業を、テイクアウトと配達に限定した。また同州は、22日より不要不急の外出や勤務を禁じる事実上の外出禁止令を実施。当然、休業を余儀なくされる事業者や失業者が多数発生した。
並行して、16日、ニューヨーク州知事は賃貸物件からの強制退去を1カ月間禁止する命令を発し、即時発効させた。また連邦は、減収や失職を余儀なくされる従業員に対し、事業者に所得保障を求める法律を制定し、4月1日に発効させた。この他、失業保険の速やかな給付など、数多くの救済が行なわれている。対象外となる人々は少なくないが、ホームレスや不法滞在者を含め、可能な限りの救済措置を講じている自治体が多い。
学校は3月16日より休校となったが、ニューヨーク市の生徒は、朝食・昼食の提供を通常通りに受けられた。家庭環境や在留ステータスによるサポートが必要な生徒も多いため、学校には引き続き、カウンセラーや法律家を含むスタッフが待機した。
日本で盛んに報じられている「医療崩壊」も、緊急病院が次々と建設され、医療用マスクやガウンなど防護用具の提供と、製造業者への増産の要請など、市と州の迅速な対応が評価されている。